本日は、職場の大の猫好き女子Mとの外回りの帰り道、ちょうどお昼時になりましたので北九州市のイニシエ豚骨*1の雄、龍王へとやってまいりました。
龍王を当ブログに掲載するのは今回が2回目。それくらい、ここは当方の中でも1〜2を争うラーメン界の至宝。その割にはあまり足を運びませんが、それはまぁその、立地がいま二つほどよろしくないゆえ。最寄駅からは遠く、人気の割に駐車場が広くないのです。
クルマ一台通るのがやっとの狭苦しい路地にあるお店ですが、お昼時はいつも行列。きょうは少しだけ早めの到着のおかげで並ばずに入店です。
メニューは至ってシンプル。ラーメン、大盛ラーメン、ゆで卵、おにぎり、ビールのみ。私は大盛ラーメンとおにぎり、ツレはラーメンを注文するつもり。
お店の人を呼ぼうかとしていた矢先、我々よりあとに入店した若い男性が一足先に「ラーメン、カタメン!」とオーダー。
おいおい、龍王に来てまでカタメンかい、博多ラーメンや長浜ラーメンじゃないんだよ、なんでわざわざそんな伸びやすい麺にするかな? そもそも硬さ指定なんて聞かれてもいないだろ、ここはそんなこと聞いてくる店じゃないんだよ、などとブツクサ思っていたところにお店の人がお冷を持って我々の前に登場。オーダーを伝え、お冷をひと口含もうとしたそのとき、耳を疑う信じられない一言が!
「麺の硬さ、どうなさいます?」
「へ!?」
ウソでしょ!
龍王よ、お前もかい!
お前も麺の硬さオーダーを客に聞いてくるほど落ちぶれたんかい!
この時点で私のテンションは過去に例を見ないほどダダ下がり。
やり場のない怒りと悲しみが、とめどなく押し寄せてきます。
まさに茫然自失。
そして、その姿を見て笑いをこらえるのに必死なツレM。
強敵ホセ・メンドーサ戦を15ラウンド戦い抜いたのち敗れ、真っ白な灰に燃え尽きた矢吹丈同然の状態で、これまた同じような店の丸イスに座ったままの私。そんな私のただならぬ気配を察したMが機転をきかせ、「あ、硬さは普通で」と伝え、事なきを得ました(笑)。
いえね、予兆はあったんですよ。
これまで白T姿しか見たことない大将が、なぜかきょうに限ってイニシエ店らしからぬ、まるでイマドキ豚骨*2店に迎合するかのような黒Tを着てたりね。こんなん初めてですよ! ......いやまぁ、Tシャツの色は関係ないか(笑)。
真面目な話、確かに以前からここ龍王でも、硬さ指定など聞かれてもいないのに一方的にカタメン! バリカタ! などと言う客はいました。
しかし店側は、え? うちでカタメン...ですか? ホントにいーんすか、それで? みたいな感じで仕方なく応じているように見えていたのです。それが今や、店主自ら自慢の麺上げを放棄し、客におもねるようになってしまったか。
打ちひしがれている私の元にラーメン到着。
それはそれとして、いただきます。
まずはスープ。
とその前に、きょうが龍王初体験の対面に座るツレMがスープを飲んだ瞬間、思わず「あ、おいしい」と一言。自然とこぼれたその言葉は、ホントにおいしかったんだと思います。
では小生も。
ずずず、ず、ず。
涙で味もよく分かりません。
というのはウソで、やはりうまい。
鼻に抜けるごま油のような香りは、ここ龍王でしか味わえないもの。ほかのどのラーメンともまったく異なります。
続けて麺。
ズズズのずるずる。
適度な細麺で柔らかく、これまたうまい。
なんでこの麺をしゃっちが(方言:何が何でも必ずの意)硬めにしたがるのか、理解に苦しみます。
普通のラーメン(大盛)にもかかわらず、相変わらずチャーシューの盛りがすごいことになってます。他店なら確実にチャーシューメンです。
おにぎりは、卓上のニンニクみそをつけていただきます。このニンニクみそがまたうまい。これも他店では見たことがありません。
さて、今回も味には文句のつけようがない龍王でしたが、もう行くことはないでしょう。
先代からの歴史をつむぎ、昭和42年から長きに渡って築いてきた伝統の味を提供することを自ら放棄した龍王に、もはや行く価値などなし。
うまいことに変わりはありませんが、お店のスタンスと当方のこだわりの問題です! いや、ホントくだらんこだわりですけど(笑)。
ちなみにツレMは、おいしかったので答え合わせのためにもう一回行くって言ってました。
ごっつぁんでした。