杵築城を見学したあとは、その城下に広がる杵築城下町を散策します。
杵築の城下町は天然の地形上おもしろい造りになっており、武家屋敷群は北台および南台と呼ばれる二つの高台にあり、高台に挟まれた谷間が商人の町となっていて“サンドイッチの町”とも呼ばれているそう。
北台エリアは、藩校をはじめ家老屋敷の「大原邸」や幕末に建てられた藩主の屋敷「能見邸」、藩主の休息所となっていた「楽寿亭」の一部だった「磯矢邸」など、身分の高い上級武士の暮らした武家屋敷街だったところ。
往時の土壁が残る静かな佇まいで、城下町の面影を色濃く残しています。
この高台から番所の坂、勘定場の坂、商人の町へ降りる酢屋の坂などがあり、地形を活かした独特の町割りであったことが分かります。
目を引くのはその坂道の造り。通常の階段状ではなく、籠かきや馬が登降しやすいよう段差がない造りになっています。
北台に対して南台の武家屋敷群は、壁や門に往時の造りを偲ばせるもののどこか現代的。それもそのはずで実際に人が住んでおり、外構のみ残して建物は現代のものに変わっているものもちらほら。
中にはすでに住人が不在のようで、朽ち果てた住家が残されただけのものも見られました。
往時の姿を留める北台の武家屋敷群もいいのですが、一方で南台の武家屋敷群に見られる時代の変遷とともに変わりゆく街の姿もまた、惹かれるものがありました。