ここは、福岡県直方市にあるJR直方駅。直方市は、かつて筑豊炭田の石炭輸送の中継地点として大いに栄えた街で、駅前では郷土出身の人気力士・魁皇関のどデカい銅像がお出迎えです。
あいにくの雨模様ですが、きょうはここから筑豊本線に乗り、佐賀県の武雄市までツレと二人で行く計画です。3両編成の電車に乗り、まずは乗換駅である桂川を目指します。
筑豊地方ののどかな田園風景を眺めながら、電車は30分ほどで桂川駅に到着。普通ならこのまま乗り換えることなく篠栗方面へ向かい、博多まで乗車するところですが、せっかくなので本日は筑豊本線の本来の終着駅である原田駅を経由して、目的地である武雄まで向かいます。
降り立ったホームの向かい側では、すでに単行のキハ40がエンジンをアイドリングさせながら、出発時刻が来るのを待っています。
さっそく車内に乗り込むと、天井の古びた扇風機やボックスシートに設置されていた灰皿の撤去跡、左右2ヶ所のツメをつまんで引き上げる窓ガラスなど、おっさんのノスタルジックな感情を揺さぶる演出にあふれています。
一日に数えるほどしか運行されていない路線ですが、きょうは我々を含めて10人くらいが乗り合わせています。桂川から原田までは、およそ30分弱の列車旅です。
定刻になり、列車はガラガラとディーゼルエンジンを唸らせながら出発。
最初の停車駅である上穂波駅を過ぎると、それまでの田園風景から徐々に峠越えの雰囲気へと変わっていきます。
列車は一段とエンジン音をあげながら、福岡県内では難所とされる冷水峠越えのトンネルへ。ちなみに、このトンネルを抜けるまでに要した時間はおよそ3分20秒。
峠を越えたあとは、一気に下りながら筑前山家駅へ到着。ここでは、かつて北九州市内を走っていた西鉄の路面電車と西鉄バスの車両が、それぞれ保存されています。残念ながら、保存状態は厳しいものがあるようです。
筑前山家駅を後にした列車は、ほどなく鹿児島本線と併走し、終着駅の原田へと滑り込みます。
到着したホームは0番線。片側のみの簡素なものです。屋根を支える支柱は、その古めかしさからおそらく鉄道開業時の明治期に建てられたものではないかと思われる木製のもの。なかなかの味があります。
筑豊本線の旅はここまで。乗ろうと思ってこなければ乗る機会などない路線で、存分に楽しむことができました。ここで鹿児島本線に乗り換え、お次は佐賀県にある鳥栖駅を目指します。